「地域に選ばれる法人を目指して」を運営理念に、高齢者施設、デイサービス、保育園と地域に根づいた福祉サービスを展開する社会福祉法人壽光会。職員が長く安心して勤めていけるよう、魅力的な職場づくりを目指しているという。そのためにはどういった取り組みが行われているのか?美しい神西湖を一望できる湖水苑のレイクホールで、壽光会で働く皆さんにお話を伺いました。
左から
《参加者》
- 周藤 由理さん《出身》島根県《所属》ケアサポート相生/入社16年目
- 小澤 るみこさん《出身》山梨県《所属》グループホーム湖水苑/入社1年目
- 永井 綾音さん《出身》島根県《所属》たいしゃ保育園/入社3年目
- 石川佳照さん《出身》愛知県《所属》たいしゃ保育園園長・壽光会事務長/入社7年目
司会者みなさんが壽光会に入られたいきさつを教えてください。
石川さん私は愛知県の出身で、日本福祉大学に通っていました。在学中に島根県益田市にある明誠高校が福祉科を立ち上げるという話を聞いて、立ち上げから参加できるのであればと思い、島根県に行くことを決めました。
そして、大学を卒業してすぐに島根県に来て、福祉科の教諭として明誠高校と、その姉妹校である出雲西高校で17年間教鞭をとっていました。
縁あって当法人の理事長の娘さんとの結婚が決まり、それを機に高校教諭からこちらに転職しました。
周藤さん私は松江市出身で、トリニティカレッジ出雲医療福祉専門学校(以下トリニティカレッジ)を卒業してすぐにこちらに就職しました。今年で16年目になります。ずっと特別養護老人ホームで働いていましたが、今は今市町にあるケアサポート相生で働いています。
小澤さん私は山梨県の出身で、短大を卒業して15年ほどは山梨県で保育士をしていたんですが、元々介護の仕事をしたかったので介護職に転職しました。
音楽が好きなので音楽療法の勉強もしていたところ、音楽療法士のいい先生が島根にいると聞いて、勉強も兼ねて島根にIターンしました。トリニティカレッジで2年間勉強をして介護福祉士の資格も取り、今年からこちらのグループホームで働いています。
永井さん私は飯南町出身で、島根県立大学で保育を学び、新卒で当法人が経営するたいしゃ保育園に就職しました。今年で3年目になりますが、今は産休中です。
司会者さまざまな認定制度に取り組まれていますね。
石川さんはい、職員にとって働きやすい魅力的な職場づくりを目指しております。教師をしていた時に生徒がここで働いていたこともあり、以前から当法人のことはよく知っていました。そこに自分が勤めることになり、ここで働く人たちにとって、もっと働きやすい職場にしていこうと思いました。
人を支える職業ですので、働く人も大切にしたい。そのためにはどうしたらいいか考えたんです。その取り組みの一つがさまざまな認定制度に取り組むこと。認定のための条件を少しずつクリアすることで、環境が改善していけるのではと思ったんです。
司会者中でも女性活躍推進企業認定「えるぼし認定制度」では 3段階あるうちの最高位を取っておられますね。
石川さん「えるぼし」の5つの評価項目全てを満たし、3段階目を取得しました。例えば半日単位の時間有給を新たに設けたり、他の施設で行われているいいところを取り入れたり、少しずつ環境を変えることで認定へとつながっていったと思います。
以前は女性スタッフが多く、夜勤もある24時間体制の仕事なので、女性が結婚や子育ての時期にも働きやすいように改善していきました。
周藤さん石川園長が入られてから、いろいろな取り組みをされているのは現場の方にもすごく伝わってきました。私自身も長く勤めていけるか不安になることもありましたが、壽光会の中なら自分の仕事や生活など、人生設計がしやすいと感じます。未来が見えやすいというか。
石川さんほかにも「しまね子育て応援企業」や「ヘルス・マネジメント認定」など、さまざまな認定をいただいております。7年前に私が入社してから少しずつそういった取り組みをしてきましたが、まだまだ課題もあります。ここ最近は若い男性社員も増えてきましたし、これからも改善に向けて取り組んでいこうと思います。
司会者他にはどのような取り組みをされていますか?
永井さん私は入社1年目の時にエルダー制度を入れてもらいました。先輩保育士とペアを組む形で、仕事だけでなく、普段のことや色んな思いなどを聞いてもらう時間を月に一度取ってもらっていました。そういった仕事や個人的な話ができる先輩が同じ職場にいることは、とても心強かったです。
石川さんエルダー制度は法人全体でやっていて、期間は1年間です。新規職員にはできるだけ入れさせてもらっています。
周藤さんリーダーや主任ではなく、入社2〜3年目の比較的年の近い職員がつくので、新規職員は話がしやすいですね。エルダーでつく方も、1年目の自分もこうだったなと振り返りながら話を聞いてあげられます。
コロナ禍以前は職員同士で飲み会や食事会などコミュニケーションを取る機会があったけど、今はそういう機会もないので余計にありがたい制度かもしれないですね。
司会者壽光会のいいところはどんなところだと思いますか?
小澤さん人がみんな優しいですね。私はトリニティカレッジに通っていて、2年生の実習の時に縁あってこの法人に来ましたが、皆さんにすごく良くしてもらって。いろんなところに実習に行きましたが、ここは高齢者の方への接し方もすごく良かったです。
また、ここの特養(特別養護老人ホーム)は全室個室のユニットケア型なので、利用者さんも安心して介護を受けていただけると思いますし、プライベートが保たれるのもいいですね。
石川さんそれまでは従来型と言って、職員全員が全利用者さんの対応をする形でしたが、今は10人単位のユニット型で、職員も決まった人が対応するので利用者さんとの距離も近くなりますし、職員の負担も軽減されます。お世話をする人数が少ない分、利用者さんの小さな変化にも気づきやすいですしね。
周藤さんユニット型になったのは5年前ですね。少人数だと家庭的な雰囲気になりますし、利用者さん一人ひとりの希望を聞いてあげられるのもユニット型の魅力です。
永井さん私はたいしゃ保育園に入って、職員同士の仲の良さをすごく感じました。女性の多い職場ですし、入る前は少し不安もありましたが、ここは仕事の内容や情報を共有しながらプライベートの話もできるような和気あいあいとした人間関係が育めます。地元を離れて働く上ではそういった不安がなくてすごく助かりました。
周藤さん私は10年間特養に勤めていて、結婚後もしばらくは子育てをしながら夜勤も続けていましたが、やはり独身の頃のように働くのは難しく、一時は退職も考えました。その頃、市内に同じ法人のケアサポート相生があり、そこなら今の自分の生活リズムに合わせて働けるということで、そちらに異動しました。そこには8名職員がいて、それぞれの家庭の事情や働き方を考えながら勤務時間を組み立てています。
子育てが終わったらまた特養に戻れるかもしれませんし、転職しなくても自分の生活に合わせて法人の中で仕事が続けられるのは、いろんな施設を持っている壽光会ならではだと思います。
司会者正社員の登用制度も積極的にされているんですね。
石川さん以前は介護福祉士の資格がないと正社員になれなかったんですが、条件をクリアできれば正社員になれるように変えていきました。例えば無資格で入社しても、希望があれば働きながらトリニティカレッジの通信などに通っていただけます。受講料も全部法人が負担しますし、スクーリングも出張扱いになります。資格が取れたらお祝い金も出ますよ!
周藤さん資格を取るためのいろんな制度もありますし、現場ではたくさんの先輩が教えてくれますので、介護の経験がない方でも入社しやすい職種だと思います。
私も育児を機にパートや嘱託への移行、退職も考えましたが、正社員のままで仕事を続けさせてもらえるのは自信にもなります。
石川さん辞めてしまうより、働きやすいよう勤務時間を調整することで正社員のまま働いてもらえる。出産や育児でキャリアを諦めなくてもいいようにしていきたいです。
正社員になると収入面や賞与などの待遇が変わりますし、仕事へのモチベーションも違いますしね。
司会者皆さんの今後の目標を教えて下さい。
小澤さん音楽が好きなので、利用者さんに歌や音楽で楽しんでいただけるようにしたいですね。昔の歌を聞くと当時のことを思い出して皆さん喜んでくださいます。
周藤さん利用者さんとともに楽しみややりがいを見つけながら15年間やってきました。いずれはまた特養や別の部署で自分のキャリアも積んでいけたらと思います。
永井さん現在産休中ですが、他の職員さんも産休に入ったり子育てをしながら長く勤めておられる方が本当に多いです。産後は家庭と両立しながら、保育士として保護者さんとともに子どもたちの成長を見守っていきたいですね。
石川さん自分の家族もうちの施設に入ってほしいと思えるし、職員の皆さんにもそんな風に思ってもらえるよう、さらに魅力的な施設にしていきたい。
身内や友達に「ここで一緒に働かない?」と言えるような職場づくりを目指していきたいです。