トップ対談[株式会社USEN社長 × 出雲市長]

日 時:6月6日(火)14:00~15:00
場 所:株式会社USEN東京本社
(東京都港区北青山三丁目1番2号)
写真左:長岡 秀人(島根県出雲市長)
写真右:田村 公正
(株式会社USEN 代表取締役社長)
社長

出雲市は、2016年の住んでみたい自治体ランキング全国30位、魅力度ランキング全国29位ということでブランド力は非常に高い市だと認識しています。 あらためて、出雲市ってこんな街だというところをお聞かせください。

市長

出雲市は島根県の東部に位置しており、古い歴史で言うと古事記や日本書紀などの舞台にもなっています。出雲には日本の自然が揃っており、平野・山・川・湖・海と何でもあります。産業面でも、「ものづくりの街」と言われるくらいで、県内の製造業の4割以上が出雲市で生産を行っています。

現在、全国の地方都市で人口減少、少子化と言われている中、平成27年の国勢調査では県内で唯一、人口が増えています。いろいろな要因があるが、なんといっても働く場所があるということが大きいです。仕事があって人が住み、人が住んで初めて“街”が維持できると思っています。そのことは徹底して取り組んできました。おかげで、多くの企業に市内へ進出していただき、既存の企業も増床、増築を繰り返していただいています。

出雲を元気な街へ。地方都市のなかで唯一の例外を作ろうというのが私の目標です。そのためにも、出雲市をいろいろな形で情報発信していきたいと思っています。

社長

企業の誘致などで、何か特別な施策を行っておられますか?

市長

特別なことはしていません。全国的な補助金は出しています。企業誘致において、最後の決め手は何かと言われれば、やはり「人のつながり」と「安心・安全」ではないかと思います。

島根県に立地した企業の方が共通しておっしゃるのは、離職率が非常に低いということ。一度入ると、そこで努力される方が非常に多いです。

社長

市長が話された人口増について、もう少し具体的にお聞きしたいのですが、どういった部分が特に響いて人口増につながったと思われますか?

市長

やはり、仕事の影響が大きいですね。出雲市は年間400~500人の自然減があり、それを上回る転入がありますが、特殊事情としては外国人労働者がけっこう多いです。現在、市内には、3,200人くらいの外国人居住者がおられ、そのうち2,200人くらいが、日系ブラジル人です。彼らが休暇で、ブラジルへ帰った時に家族を連れて一緒に出雲へ帰って来るんです。それが人口増に繋がっています。ただ、転入のほとんどは日本人です。それは、仕事や出雲での暮らしやすさが要因ではないかと考えています。

社長

ありがとうございます。それでは、少しUSENの紹介をさせていただければと思います。

従来、USENは音楽配信と集客支援を中心に事業を進めてきましたが、それ以外にICT事業と至近で開業支援事業へ参入しました。開業支援事業への参入の理由として、今までは開業する直前でUSENとの取引を検討するオーナーが多かったですが、それら接点をもっと早めたいと考えました。

USENは創業から50年、音楽配信に軸足を置き、横展開を行ってきました。ただ、現在はリスナーのニーズも多種多様になってきています。音楽配信はコアビジネスに変わりがないが、今後は店舗のICT等と開業支援のサービスを合わせて行っていこうと思っています。

昨年(2016年)12月には「canaeru」という開業支援のポータルサイトを立ち上げました。サイトには資金調達・事業計画・物件情報・開業された方のインタビューも載せています。

実は、出雲の方のインタビューも取り上げています。その方は東京からUターンされてゲストハウスとカフェを経営されている。こういった方々を、フィーチャーしながらU・Iターンを考えている人もサポートしたいと考えています。

市長

開業を決意してから開業に至るまでのプロセスのサポートに関しては、一貫して誰かが行っているのですか?それともチームとかで役割分担しながら…?

社長

両方ありますね。資金や物件については、専門のチームを置いています。それ以外の仕入れや販売促進といったところは、現地の社員が直接出向いて対応しています。

開業支援のスタートで言うと、USENは全国で開業支援セミナーを行っています。その中で、開業へ向けて一歩踏み出そうとしている人にはUSEN社員がコンシェルジュとして、半年後、1年後の開業へ向けて、ずっとサポートし続けています。

市長

なるほど。もちろんUSENでは既存の店舗からの悩みや相談にも対応されているんですよね?

社長

そうですね。来店するお客様が少ないとか、店舗の改装をしたいとか。最近増えてきたのは、一旦、店を閉めて、新たな場所でトライしたいといった相談がありますね。

USENが店舗ICTに取り組んでいるのは、店舗閉店という私たちが向き合わないといけない事実があるからなんです。毎月4,000件近い新規契約があるのですが、実はそれに近い解約もあります。その解約の半数は店舗閉店です。都市部の閉店も増えていますが、それに加えて、地方の元気のなさを感じる。すべてではないが、地方の商店街が次々とシャッター商店街となる中で、後継者不足で人がいなくなり、地方がしぼんでいく。それを少しでも変えていくお手伝いをするのがUSENの使命なのだと考えています。

市長

出雲の地に新規で開業してもらうために全国からたくさんの人に来てもらいたいですね。そういった意味ではUSENと出雲市は目的が一致していますね。

現在、出雲市では市内への宿泊客を増やしたいと考えていろいろと取り組んでいます。年間1,200万人くらいが出雲へ観光で訪れていますが、そのうち宿泊客はというとビジネスも含めて年間62万人くらい。年間の宿泊客100万人を目指しています。

社長

今、出雲市はホテルの客室が足りているんですか?

市長

まだまだ、足りてないですね。また、宿泊客を増やしても泊まっていただいた旅行者に満足してもらわなければ意味がない。出雲の弱点は歓楽街。日曜に出雲へ泊る方も多いが、日曜はどこの店も閉まっている。出雲は昔からそういった街で、夕方、出雲大社前のそば屋に準備中と看板が出ていて、並んでいる旅行客がいらっしゃるのに、実は開店するのは翌日だったなんてことも…(笑)。

ただ、少しずつ変わってきている所もあって、先ほどの出雲大社前の神門通りなどは7~8年前まで、まともに開けているのは10数店舗だったのが、現在は90店舗ほどに増え、どこの店舗も開いています。ただし、それは外から開業された方たちがほとんど。地元出身の方のお店はほとんどない。創業・開業も同じで、外から来てもらって、強烈な刺激を出雲に与えてもらいたい。

社長

そういった意味ではUSENとしても、創業・開業については一緒に取り組みたいと思います。また、出雲の課題を、USENのソリューションでどう解決していくか、いくつか提案もさせていただきたい。

USENは、ウェディングのメディア事業をやっています。出雲は「縁結びのまち」ということで、式典をする場所があると思うが、そういったところとのタイアップや全国の小学校でWi-Fi化が進むなか、そのお手伝いもできるのではないかと思っています。

例えば、神門通りに焦点をあて、外国人向けに特集を設け、集客につなげるといった提案もできるのではないかと思っています。Wi-Fiが、あまり設置されていないということだったのですが、外国の方がWi-Fiに繋ぐと、出雲の紹介や店舗情報、クーポンが付いている、などといった仕掛けもできるかと思います。出雲市のインバウンドは、どのような感じですか?

市長

非常に少ないですね。島根県で言うと全国47都道府県で下から2番目。ただ、少ないということは、これから伸びしろがあるということ。従来、外国人旅行客は東京・大阪など都市部に多かったが、今は地方都市へ足を延ばしておられる。現在、広島県が相当増えているので、そこから出雲へ引っ張って来たい。

社長

また、私たちは生産者と飲食店をつなぐということも取り組んでいます。生産者と話していると、いろいろな想いを持って農作物を作っている方がたくさんいる。一方で、食材にこだわりを持っているシェフもたくさんいます。私たちは飲食店の情報はあるが、生産者の情報は少ない。そこで、出雲市と協力して市内の生産者とのマッチングもできるのではないかと思います。また、出雲の特集をここで組むのも面白いかもしれません。

市長

是非、生産者など紹介させてほしい。農業はやればもうかるが、なかなか若者が集まらず、後継者が育たないのが課題。

出雲市の農業生産でいうと、コメの次に生産が多いのがぶどう。ただ、ぶどうの年間生産額は18億円で、以前は39億円くらいだったので半減している。

社長

後継者不足はどこでも課題。日系ブラジル人の方々を農家にするということは、行なっていないのですか?

市長

それを今やろうとしています。多文化共生と言っているが、今来てもらっているブラジル人の8割が農村部出身。彼らは熱いハートとパワーを持っているので、是非それを出雲で活かしてもらいたいと考えています。

社長

是非、出雲で何か全国へ発信できるキラーコンテンツをつくっていただきたい。

市長

先程、USENからこれからの展開や方向性をお聞かせいただいて、是非、出雲に新しい刺激を与えてもらいたい。U・I・Jターンの皆さんを中心とした新しい方々が出雲で創業・開業できるような仕掛けづくりを一緒にできたら嬉しい。それがひいては、まちの活性化や次世代の夢に繋がると思うんです。

ぜひ、これを機会に1つずつ、確実に結果を出せるところから、一緒に取り組んでいきましょう!

社長

まずは、きっかけとして創業・開業支援について、出雲市とご一緒させてほしい。
それと合わせて、行政サイドでのU・Iターンの開業者を手厚くサポートしていただきたい。
U・Iターンと開業というイメージが、世間にあまり浸透していない。このことについて、新たな流れを、出雲市から一緒に広めていきたい。

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