ここでしか出会えない
紙から生み出される吾郷屋の世界

あごう なおき

吾郷 直紀

(吾郷屋)

出雲市(旧平田市)出身。サラリーマンをしながら独学で手製本の創作活動をはじめ、個展やグループ展に出品。2017年に木綿街道に建つ実家を店舗に「吾郷屋」を独立開業した。こだわりの手製本をはじめさまざまなシリーズ作品を手掛け、県外からも多くのファンが訪れている。

幼少期から好きだった「本づくり」

最初に「本」を作ったのは幼稚園の頃だったかな、絵を描くのが好きで、図鑑とかを見ながら大好きな虫を紙に描いて、それを製本するのが好きだったんですよ。製本って言っても、紙を重ねてホッチキスで留めてっていう、誰でもやっていたようなことですけどね(笑)そうやって描いたものを重ねて閉じると、それで“一冊の情報の塊”ができるわけじゃないですか。その感覚が好きでした。

小学生になると、みんなで自由帳に漫画を書くのが楽しくて。それが2〜3冊くらいになると、背表紙を取って重ねて、それに自分で表紙をつけて「1巻ができたぞー」って人に見せたりして(笑)その頃からそういうことをやっていましたね。

大学に進学してからはサークル活動で美術部に入りました。そこで出会った同級生と一緒に、オリジナルで作ったプリントTシャツやかばん、人をモチーフにした紙粘土製のオブジェ、そういったものを作ってサークルの展示会で発表したんです。それまではいわゆる油絵などの絵画作品が多かったんですが、概念にとらわれず間口を広げたというか、その自由な発想は今の自分にもかなり影響を与えてくれたと思います。

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地元作家との出会いが大きな転機に

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大学を卒業して地元にUターンして、しばらくはサラリーマンをしていました。今ある「手製本づくり」を最初にしたのは2007年の頃。字や絵を書くのがもともと好きというのもあり、「自分のポケットに入るサイズのノートが欲しいな」と思い立って。市販品もいいんですが、やっぱり何となく大きさがしっくりこなくて、「じゃあ自分で作ろう!」と、いわゆるハードカバーと呼ばれる本を独学で作ってみたんですね。今みたいにYou TubeとかSNSに情報が溢れている時代じゃないですから、既製品の本を分解したり、海外のサイトを見たりして夢中で作りました。「作りたい!」ってスイッチが入ると徹底的にやってしまうタイプなので(笑)

 

それが楽しくて、その後も創作活動を続けてノートを数冊作った頃、石橋優さんという松江市の陶芸作家さんの展示会に行くことがありました。その時に石橋さんに自分の作ったノートを見てもらったら、次の展示会に出品しませんかと声をかけていただいたんです。それをご縁にその後いろいろな作家さんとの繋がりができて、いろいろな展示会やイベントに出品させてもらうことになりました。

自分の表現したものを発表するというのは昔から好きだったのでうれしかったですね。誰かに見てもらいたいというのが目的ではなく、あくまでも自分で楽しいと思ったものを作って満足するという感じでしたが、結果的にお客さんが面白がってくれたらやっぱりうれしいですよね。

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作品づくりのひらめきは「頭に浮かんだもの」

イベントなどに参加する中で他の作家さんに刺激を受けたり、「手帳を作って欲しい」などのオーダーを受けたりするようになり、独立することを決めました。もともと私の生家であった築150年の家を、結婚を機にリノベーションして暮らしていたんですが、そこをそのまま店舗にして、2017年に開業しました。

 

木綿街道という場所柄、大社参拝の方など観光客の方が多く、たくさんの県外の方と出会う機会を頂いております。

ネットやSNSなどで知って来てくださる方も多いです。

はじまりは手製のノートでしたが、その後少しずつ創作の幅が広がっていきました。紙を切り抜いて作るはめ込みのデザインをはじめ、モザイクシリーズ、新聞紙の貼り絵シリーズ、可動式紙人形シリーズなどなど。

可動式紙人形のおっさんシリーズを作り始めたのはコロナ禍の頃でした。あの頃ってニュースが暗い話題ばかりで世の中おかしくなっていて、そんな中で何かクスッとでも笑えるものがあるといいんじゃないかなって思って、大量におっさんを作ったんですね。そうしたら予想以上に楽しんで頂けました。

モザイクの発想も、「よくあるモザイク柄が紙ではめ込んであったら面白いのではないか」とかそんな風に、全部自分の頭に浮かんだものを作っている感じです。

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書き込むことで完成する「自分だけのノート」

切り絵や貼り絵などの作品も増えていきました。ノートも誰かが何かを書き込むことで自分だ けの作品になるという意味ではアート的なものであると思いますが、今後目指していきたいと ころの一つとして、ノートや手帳をもっと「使える道具」として認知してほしい。スマホやパソコ ンなどで記録を残すのももちろんいいんですが、やっぱり手で字や絵を書くことは重要だと僕 は思っています。

例えばお客さんのノートの用途例として、「人に書いてもらう」という方がおられるんですね。友達や知り合った人に何か書いてもらう、いわばサイン帳ですよね。もちろん自分の字でもいいですし、とにかく肉筆で残すというのは重要だと思っていて、そのツールとして使ってもらいたいなという思いがあります。

これからどんな作品を生み出していくのかは自分でもまだ分かっていなくて。作りたいものはいっぱいあるんですけどね、それを作りたいという瞬間はいきなりやって来るので自分でも見通しが立たない(笑)おかげさまでとても忙しい日々ですが、今後もノートや手帳、そしてあたらしい作品づくりの方にも力を入れていきたいと思っています。

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出雲人が薦める出雲

木綿街道
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生まれ育った場所なので、やはりここは特別な場所。通りの雰囲気とか小さな路地、昔の船着き場だった「かけだし」など、古き良き町並みを大切にしているところが好きですね。最近はお店もたくさんできてとても賑わっています。

一式飾り
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昔からある平田の民俗芸術ですが、陶器や茶器などを組み合わせて人や動物に見立てて作る、あの法則に似た作品が新聞紙の貼り絵シリーズです。あるものを全く違うものに見立てて作り上げていく発想は、小さい頃から見ていた一式飾りにもらったものかもしれません。

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