酪農を行う家族とともに
地元を盛り上げるパン屋を

伊藤 恵美

(牧場のパン屋さん カウベル)

出雲市斐川町出身。高校卒業後、松江市の洋菓子店に就職。その後、パン屋の開業を目指し、パン屋に1年間勤める。結婚後、酪農家の夫と「牧場のパン屋さん カウベル」をオープン。出雲市で米粉を使ったパンづくりを行った先駆者でもある。

好きなことを仕事に
働きながら実践力を身に付ける!

お菓子づくりをすることは子どもの頃から好きでしたが、仕事にするとは思っていませんでした。高校の頃、将来について母と話していたときに「自分のやりたいことを仕事にしたら?」と言われたのです。母はものづくりが好きで、粘土を使ったオブジェをつくる仕事をしていました。担任の先生にも話をしたところ「パティシエの専門学校へ行くよりも、お店で働いた方がしっかり技術を習得できるよ」とアドバイスをいただきました。それから自分で就職先を探し、高校卒業後に松江市の洋菓子店で働くことになりました。

洋菓子店ではスポンジを焼くことと組み立てをすることの二つの作業がありました。焼きが4年、組み立てが4年、合計8年の経験を積んだら一人前!という世界でした。私はケーキにクリームを塗ったり、ムースをつくる組み立てを4年ほど修業させていただきました。

ちょうどその頃、夫と知り合い、結婚する運びとなったのです。

夫は出雲市佐田町の酪農家の3代目。家族経営をしています。義父は「仕事に面白みを!」と、いつも楽しいことを考えておられ、ずっと「加工」がしたいと思っておられたようでした。その義父がどのような経緯で「パン屋」にたどり着いたかは分かりませんが、私に「ケーキがつくれるのならパンもつくれないか?」と無茶振りされたのでした(笑)。

偶然にも洋菓子店の上司がパンづくりもされていたので、教えてもらいました。しかし、発酵の具合も分からなく、どうしても上手くできません。何度も何度もつくっては…失敗。でも、試行錯誤することが逆に面白くなり、ハマってしまったのです(笑)。

今度は「パン屋へ修業に行かなきゃ!」と思いました。結婚も控えていたため、1年間ほど松江市のパン屋で勤め、基本の工程や機械の操作、特に仕事人としての「情熱」を教わったことが大きく、実りのあるものでした。

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結婚、開店、出産、子育て…
走り続けた13年!

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牧場の中にパン屋「カウベル」があるのですが、以前ここは田んぼでした。義父が敷地造成からはじめ、私がパン屋で働いている間に立派なお店を建ててくださいました。

パン屋をはじめるにあたり、夫と「この店のコンセプトは何にしよう?」と話していたところ、農業をやっている関係で農政局の人から「米粉パンの講習があるよ」とお誘いがあり講習会へ行きました。世間はまさしく米粉パンブーム。「米でこんなにおいしいパンができるんだ!」と二人で感動したことを覚えています。佐田町は田舎なので、特別なことをしない限り、なかなかお客様に足を運んでもらえそうにもありません。「それなら地元の米を使った米粉でパンづくりをしよう!」とコンセプトを固めました。

その後、1年かけて「カウベル」をオープン。その間に妊娠・出産を経験し、つわりの中でパンづくりをしていました(笑)。

お店運営は、農政局からのお声がけがあったり、また米粉のパンが珍しかったということで、各方面からの注文やメディアにも取り上げていただき、順調に出発することができました。

本当は酪農の片手間でパン屋をする、というイメージだったのですが、パン屋が一気に走り出し、あっという間に13年が経ちました!

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自分の時間を持ちながら
家族との触れ合いも大切に

夫と子どもが2人、義祖母と義父母がいるので、7人の大家族で暮らしています。

仕事一筋なので、これといった趣味はないのですが、休日になると他のパン屋に出かけたり、新しい飲食店に行ったりしています。

一人の時間があると「無」になれるパズルをひたすらしているかな。小さい頃からパズルが好きなんです。私流の気分転換ですね!

それと子どもたちの部活にてんてこ舞い。上の子が野球、下の子がドッジボール。夫婦で試合を見に行くのも楽しみの一つです。

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同業で刺激し合いながら
新しいことにチャレンジ!

お店をオープンしてから仕事と子育てに追われ、ずっと走り続けてきました。今ようやくフッと立ち止まることができ「新しいことにチャレンジしたい!」と思えるようになりました。

これまで家族間で話に出てきた「ジェラート」をはじめようと考えているのです。普通、酪農家なら牛乳からの加工、例えばヨーグルトやチーズなどを製造する流れなのですが、うちはパンづくりに使っているので、コストがかかるのです。それを見直すためには牛乳そのものを使うジェラートがいいのでは!と思っています。

それと近年、出雲市内のパン屋の店主さんの世代交代が進み、私たちと同世代の店主さんが増えてきました。徐々に横のつながりができてきて「みんなで何かできたらいいね!」と話をしています。

これまでは売れるパンをつくってきましたが、皆さんと交流を持つ中で、自分がつくりたいパンをつくろう!という気持ちになったのです。今、天然酵母のパンにも魅力を感じています。実は、米粉だけでは天然酵母のパンがつくれません。それなら思いきって米粉と小麦をブレンドして、天然酵母のパンをつくってみようかと。

初心に戻り、また試行錯誤しながら、これからもより美味しいパンづくりにチャレンジしていきたいです。

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出雲人が薦める出雲

斐伊川土手
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子どもの頃、斐伊川の近くで暮らしていたため、日常に川の存在がありました。悩みごとがあると土手にあがり、ボーッと川を眺め心を落ち着かせていました。土手は風がとても気持ちいいですよ。

スサノオホール
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NPO法人スサノオの風が運営している施設です。今までは義父の世代が地域を盛り上げていましたが世代交代し、私たちの出番!スサノオホールでマルシェやミニ劇場などを行ったり、イベント時には出店しています。

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