地域と農業と人
受け継ぎ、守り、大切にしていきたい

藤江美由紀

出雲市長浜町出身。嫁いだ先がブドウ農家であったことから、ブドウ農園を引き継ぎ、デラウェア、シャインマスカット、サマーブラックなどを栽培する。地域農業の後継者を指導する女性農業士の認定を経て、現在はJAしまね理事、JAしまね出雲ぶどう部会女性部長などを務める。

まさかの農業!
嫁いだ先がブドウ農家

「まさか農業をすることになるなんて!」。当時、自分自身も周りの友達もビックリでしたね。実家はサラリーマンの家、仕事も事務員をしていたので、嫁いだ先で“ブドウ栽培”をするとは夢にも思っていませんでした(笑)。義父も主人も他の仕事をしていたので、1ヘクタールのブドウ園をするのは義母と私の担当。その頃は、夜が明けると作業に出て、夜は11時~12時くらいまで残業していました。今思えば、2人で作業するにはブドウ園の面積が広かったかも…。昔は「手間替わり」といって、近所の人たちが手間を貸し借りしながら農業を行っていました。私が嫁ぐまでは人も雇っていたようです。今は自分たちができる範囲内で農業をするスタイルとなり、会社の就業時間くらいで作業を終えられるようになりました。

現在は義母が高齢になり、私ひとりでブドウ園を運営しています。デラウェア、シャインマスカット、サマーブラックの栽培を。サマーブラックはフルーツタルトで有名なスイーツ店「キルフェボン」の東京の店舗と取引があり、パティシエさんが視察に来られます。こだわりのモノづくりをされている方は、やはり栽培にも興味があるようで、安心安全な栽培を行なっているか、しっかりチェックされます。

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デラウェアの成長度合いをチェックする藤江さん。

ブドウ農家の直売店
いいモノいっぱい「出雲路味倶楽部」

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出雲路味倶楽部(いずもじあじくらぶ)

農家の女性経営者は少ないのが現状です。昔はブドウの話をしたり、相談する友達もいなく、ただただ作業をしていました。そんな中、JAの職員さんや、県の普及員さん、市役所の職員さんが地域の農業発展に努め、声がけしてくださったり、「こんなことやってみない?」と提案していただいたり、とてもありがたく嬉しかったことを覚えています!

 それから次第に、ブドウ農家の仲間ができて「ブドウの直売をやってみよう」と、平成17年に『出雲路味倶楽部』を立ち上げました! はじめはブドウ収穫時期の5~7月の間、期間限定で店をはじめました。そうするうちに、地元農家さんがつくっておられる野菜も出してほしいと要望があり、店を「くにびき夕日公園」内に移動し、通年で直売店を行うことになりました。

出雲路味倶楽部は、地域貢献の場でもありますが、しっかり儲かる仕組みをつくるために、6次産業化をどんどん進めようと考えています。今はイチゴジャムやデラウェアジャムが主ですが、これから商品開発を手掛けていこうと思っています。 

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ヨーグルトにのせた手作りイチゴジャム。

自然が相手の農業
だから、おもしろい!

出雲路味倶楽部もそうですが、農業経営者はほとんど男性ばかりで、女性経営者は出雲では多分私くらいです。しかし今は若い人が就農する時代となり、昨年は女性4名の就農希望者の研修生を受け入れ、1年間一緒にブドウ栽培を行ないました。みんなイイ子! 楽しかったです。

「農家は大変!」って言いますが、全然大変じゃないですよ!やりがいがあって楽しいです。強いて言えば、儲からないのが大変なくらい(笑)でも“半農半X”は、私は反対ですね…。農業は自然を相手にしているので、生半可な気持ちではできません。農業の成功は「本気度の問題」だと思っています!

個人では「藤江美由紀ぶどう園」として、5月から10月くらいまで、デラウェアの収穫体験を行っています。ほかにもJAしまね西部営農センター主催のぶどう狩りにも農園を開放しています。収穫して食べると一段とおいしいですよ!

ブドウに限らず、メロン農家や干し柿生産者、酪農の方など、島根県内でこだわりのモノをつくっておられる農家の方々と繋がりができ、情報を交換する交流会にも出かけています。おかげさまで、ご縁の波紋が広がってきました。

こうして農家さんとのご縁や農業研修生さんたちと出会ったことで、私はいつも「人間は宝だな」と思っています。「農業と人を大切に守っていきたい」とJAしまねの理事として所信表明を書きましたが、まさにその通り。人にはたくさんの良さがあり、その良さは計り知れないほど素晴らしく、いつも感謝しています!

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農業・食・趣味が三位一体
「農家レストランの夢」

これといった趣味はないのですが、料理をすること、食べることが大好きです。もちろん出雲市でおいしいと言われている店には全て行きました! そのほか近隣の市町村にある話題のお店へも!昨年は研修生の女性たちと一緒に行きましたよ。やはり農業を行うには、自分たちがつくったモノがどういう料理になるのか? どんな料理が好まれているのか? おいしく食べられているのか?などを知らなければなりません。

先日は、ワインを取り寄せ、島根和牛をブロックで買い、我が家の庭でドラム缶バーベキュー大会をしました。みんなが集まり、おいしいモノを食べて、それに合ったお酒が飲めるって最高ですよ! 

自分のつくっているモノを知り、地元のモノも知り、そして旅行先でもおいしいモノを食べるなど、「食」に対して貪欲でありたいですね。ゆくゆくは、生産者を集めて「農業女子会」を作りたいです。これからも農業と食を絡めて、より良い繋がりをつくり、出雲の農業を発展させたいです!

私の目標は「農家レストラン」を開く事です。まずは今年の秋に第1回目を開催しようと思っています。そのために先日、農業体験も兼ねて、JAの女性部の皆さんと近所の保育園の園児たちと、大豆の種をまきました。この大豆は秋に収穫して豆腐や味噌づくりの材料に使いたいと思っています。秋のレストランが成功したら、四季に1回、それから1カ月に1回、だんだん定着したらいいなと思っています。地域の中で一体化している農家レストラン! そうですね…、ブドウ園内で食事をするのも面白いですよね。今は、その目標に向けて、小さいことからコツコツと準備をしているところです。

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近隣の休耕地を利用して行われる、大豆の種まき。

出雲人が薦める出雲

牧場のパン屋さん カウベル
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カウベルさんとは親しく、出雲路味倶楽部でもパンの販売をしています。カウベルでは、バターづくりやピザづくり体験があり、自分でつくって食べることができます。景色もいいし、おいしいものを食べられるし最高です!

長浜神社
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「くにびき神話」が伝えられる長浜神社では、毎年10月にジャンボ綱引き大会が行われます。いつも「アグリレディースチーム」で参加して毎回、優勝しています! 技芸、スポーツ上達、勝運の神様ですので、ぜひ参拝してみてください。

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