スモールシティ出雲の地で
IT業界の地盤づくりを
ふじたけんいち
藤田健一
広島市出身。印刷業やパソコン販売サポート会社を経て、web制作・システム開発会社のトライポットを開業設立。起業して約16年になる。2014年に妻の実家がある出雲市へIターン。「チーム出雲オープンビジネス協議会」の理事、「出雲ITコミュニティ」の副委員長、「出雲web勉強会」の代表を務めている。
出雲大社のお膝元、大社町へ
広島からIターン
出雲市にIターンして、もう3年になります。妻が出雲市出身で、いつも「出雲に戻りたいー」と常々言っていまして…(笑)。子どもが保育園に上がるタイミングで広島から出雲へ来ました。ちょうど大社町にある祖母の家が空き家になっていたので、そこに住んでいます。周りを見渡すとけっこう奥さんの実家(出雲)へIターンしている人が多く、私も実際出雲に暮らしてみて、住み心地がいい町だと思いました。
町内会にも入り、正月には出雲大社へ大社神謡を奉納する「吉兆さん」などの行事にも参加しています。大社町は出雲大社のお膝元、伝統や文化を大切にしている地域です。また、この数年で広島と出雲間の高速道路が繋がったり、大型ショッピングセンターができたり。出雲大社の遷宮効果で、大社の神門通りにも新店舗が増え賑わっています。出雲の発展を見通してIターンしたと錯覚するくらい(笑)、出雲市は発展しました。
webの仕事はどこにいてもできる!
出雲でも夫婦一緒にweb制作会社を商い中。
Iターンするにあたり、既にトライポットという個人事業としてwebやシステム開発をしていたので、5年かけて出雲と広島を行ったり来たりしながらコツコツと下準備をしていました。ありがたいことにweb仕事はパソコンがあればどこでもでき、今ならスカイプで打ち合わせもできます。現在も仕事の約80%は、広島の仕事をしています。
自宅内に事務所部屋をつくり、私は主にwebディレクターとデザインを担当、プログラマーは妻です!得意分野はITを使って面白いことをする事!例えば、顔認証を使ったデジタルサイネージ - kinnect(動体検知)を用いたインタラクティブな仕掛けで、大型液晶画面の前で体を動かすと画面の中で、自分がサンタクロースになったり、ユニフォームを着ているなどゲーム感覚で楽しめるもので、ショッピングモールやイベントなどの展示に喜ばれています。この作品は、デジタルサイネージアワード2010でインテル賞を受賞しました。
出雲IT業界の活性化を図り
3つのコミュニティづくりに取り組む。
2年ほど前に「出雲市でIT系のコミュニティを立ち上げよう!」と島根県から呼び掛けがあり、イベントに参加。それまではIT系の知り合いがまったくいなかったのですが、そこで出雲のたくさんの方と知り合いになりました。参加された方もコミュニティがほしいと思われていたようで、意気投合し「出雲ITコミュニティ」を結成しました。月1回、約20~30人が集まって情報交換を行っています。
次の活動として、技術に特化した「出雲web勉強会」も立ち上げました。以前、広島でweb勉強会の取組みも行っていて、その時も実際に勉強になり交流にも繋がっていました。出雲でも「出雲ITコミュニティ」や「出雲web勉強会」に参加することによって、仕事の動きが活発になっています。一見、同業者でライバルの様ですが、情報交換することによって、デザインが強い人、技術に長けている人、また大きな会社や個人事業主などの情報が分かると、それぞれの得意分野に関して仕事をお願いすることができます。そうすることで、出雲でIT仕事が活性化してきたと思います。
「出雲web勉強会」は土曜日に開催しているので、男性はもちろん女性の方や、子ども連れなど、とてもラフな集まりです。参加者の中から持ち回りで、デザインや技術など、 Webに関する事を発表してもらっています。私も4歳の子どもと一緒に発表したりしたこともあります。興味のある方はぜひ参加してもらいたいです!またIT企業を集結した「チーム出雲オープンビジネス協議会」も立ち上げ、理事を務めています。「チーム出雲オープンビジネス協議会」は、よりビジネス志向の集まりです。企業がチームとなり仕事をすることによって、東京や広島などの仕事を出雲で受注し、より大きなビジネスチャンスに繋げています。
このように出雲のITコミュニティには3つの柱があり、「出雲ITコミュニティ」は情報交換を、「出雲web勉強会」は技術者やITに興味がある学生など現場に近い人たちが、「チーム出雲オープンビジネス協議会」は企業の経営者がビジネスを発展させるという、それぞれ目的別になっています。
暮らしも仕事も丁度いいスモールシティ
ヒトと地域と繋がり仕事ができる。
島根県内では松江市がRuby開発者の出身地として脚光を浴びていますが、出雲市でもIT企業が頑張っているところを見せたいですね!広島は企業の支店が集まっている地域なので、企業からの仕事が多いですが、出雲市は県や市など行政に関わる仕事も多く、自分が出雲市の何かの役割をになっている実感があります。そういう面では都市部の雑多な感じの仕事ではなく、地域としての一体感があるので、出雲市はちょうどいいスモールシティだと思います。「皆が町をよくしていく=そのための仕事」という傾向が強いようにも感じます。今後は、もっとITの活性化を出雲の地でしていきたいですね。例えば、子どもたちが大きくなったときに「ITの仕事なら、都市部へ行かなくても出雲でできるよね」という町にしてきたいです。そのために、出雲IT業界の地盤づくりを行ってる最中です。
出雲人が薦める出雲
- シャインマスカット
出雲はブドウの産地ですが、中でも「シャインマスカット」は皮ごと食べられ、とってもおいしいブドウです。 県外の友だちへの贈りものに選び、喜ばれています。
- 出雲そば
家族みんな、出雲そばが大好き。大社町はそば屋がたくさんあるので、よく出前をしてもらっています。関東の白いそばは、どこか物足りなく「黒いそばじゃないと、そばじゃない!」と思っています。