18歳のときに縁あって、家具を製造する「（株）キノシタ 出雲工場」に入社しました。はじめは家具をつくる基本的な作業から行いました。仕事も慣れてきた頃に前工場長から「勉強してみないか」と声をかけられ、木工や張りの作業などの一通りの技術を習得しました。 

それから27年間経ち、今は工場長を務めています。長年勤めていると、工場経営の善し悪しの変移も見てきました。入社した頃はちょうどバブルが弾けた時。業績が沈みましたが、そこから徐々に経営が回復していく様も肌で感じながら仕事をしてきました。会社がやっと軌道に乗ったときに、リーマンショックが起きて仕事がなくなる事態に…。会社存続も危ぶまれましたが、現社長が「もう一花咲かせたい！」という考えの下、会社を分社化したことが功を奏し、うなぎ上りに回復してきました。

今はカタログ販売に力を注いでいます。これまでは「abord（アボール）」という総合カタログだけでしたが、大阪本社の企画部が〝今後、カフェブームがくるだろう！〟と、数年先を見据えた企画を打ち出し、カフェに特化したカタログを作ったのです。アーバンナチュラルな雰囲気でスタートし「Calore（カロレ）」というカタログを発刊しました。現在、関西や関東方面のカフェはもちろん、企業からも多く注文がきています。

IZUCOを構成する出雲市内の３社

出雲で生まれ育ったからか、小学生の頃には山へ行ってカブトムシやクワガタをとるなど、昆虫が大好きな少年でした。しかし、大人になった時にふっと「カブトムシがいなくなったな…」と思ったのです。昔は水銀灯の下でブンブン飛んでいたものでした。しかし、今は山奥に行かないと見られません。そう感じたのも、私には５歳になる子どもがいるのですが、自分が子どもの頃に体験したことを、子どもにも教えてやりたいという親心が芽生えてきたからでした。我が子がカブトムシを知らないとなると、将来、親になったとき、またその子どもにカブトムシのことを教えることができませんよね。この豊かな自然が残る出雲だからこそ、自然の中で遊ぶことを楽しんでほしいのです。近年は子どもと一緒に山に入ってカブトムシをとったり、田んぼに行ってはメダカをとったりしています。

その延長で、捕まえたメダカを繁殖することにハマっています。大きな甕（かめ）に土を入れ睡蓮（すいれん）を植えて水をはり、その中でメダカを飼っています。カブトムシも育てていて、ボックスに腐葉土を入れ、今は幼虫が土の中で暮しています。しかし社員にそのことを熱く語っても、誰一人共感してくれません（笑）。

今年からＩＺＵＣＯブランドの家具製作がはじまっています。大阪の家具メーカーの家具を製造している出雲工場が、地元ブランド家具も製造することになるので、会社としてもチャレンジする年でもあります。出雲木材市場さんと積水成型工業さん、そして弊社との３社の販売ルートを生かしながら、多方面に展開したいと思っています。

今はＩＺＵＣＯでは椅子やテーブルを作っていますが、今後、ベッドやタンスなど家の中にある全ての家具をＩＺＵＣＯで作ってみたいですね。また木の素材以外に、スツールなども手掛け、新しい家具作りも行うなど夢は膨らむばかりです。

個人的には、ＩＺＵＣＯブランドを発信することによって「出雲」をどんどんＰＲしていきたいです。県外の企業へ行くと、いつも〝出雲〟の話をしています。一番大事にしている言葉は「ご縁」。出雲大社は縁結びの神様をまつっており、男女を結ぶだけではなく、人と人との繋がりのご縁もあります。それを大事にしたいと常に思っているので、仕事上も「これも何かのご縁！一緒に仕事しましょう」と話をしているところです。出雲の知名度を上げ、もっと観光客を増やし、出雲を元気にするのが私の思いです。