お客様の素敵な笑顔が
見たいから
心に寄り添える
美容師でありたい

おばら さちこ

尾原 幸子

(訪問美容 HAIR WORKS gem)

出雲市大社町出身。 島根県立東部高等技術校を卒業後、 出雲市内の美容院に就職。 15年勤務したのち、訪問美容師として独立。

美容院に行くことが難しい人にも
気軽に利用できる環境を作りたい

外出が困難な方や、自宅で療養中の方、介護施設などに向けた訪問型の美容師を2年前から始めました。

元々は島根県立東部高等技術校を卒業後、出雲市内の美容院で働いていました。その間に結婚・出産を経験し、出産で数か月休んで復帰した時に、様々な変化に気づいたんです。久しぶりに会ったお客様の背中が曲がってこられたなとか、椅子から立ち上がる時に足腰が痛そうだな、など感じるようになりました。15年間その美容院で勤務していたのですが、自分も15歳、年を重ね、お客様も15歳、年を重ねてきたんだなと。一番心に残っているのが、シャンプー台に寝ておくことが辛くなってきたお客様を見た時でした。なんとか短時間で済ませられないだろうかと試行錯誤してみたり…タオルを首の下に挟んでみたりだとか自分なりに工夫をしてみましたが、やっぱりしんどいとなってしまいました。お客様が自分で美容院に行くのをやめようと思うのと、まだ行きたい気持ちがあるのに自分の身体の事情で行けなくなるのは大きく違いますよね。そんな方が自分の知らないところにたくさんおられるってことだなと思って、そういう方が気軽に利用できるような場所を作りたいと思ったのが、訪問美容師を始めるきっかけでした。

ただ、身体が不自由な方の介助の仕方や辛くない体勢の取り方など、介護の仕方なんて全く知らなかったので、それを知っていればもっと仕事に役立つのではないかと介護の勉強をすることにしました。お店のオーナーも理解のある方だったので、そのままお店に勤めながらでも勉強はできたし、そこで訪問美容もできたとは思うんですが、訪問美容だけに集中して仕事をしたいと思い、思い切って退職しました。

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コツコツと認知と理解、
経験を積んでいく日々

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退職した半月後くらいに介護職員初任者研修の受講コースの募集があったので、すぐに申し込みました。受講が始まってからは3か月かけて勉強し、並行して訪問美容を始めるにあたっての準備を進めていきました。シャンプー台1つとってもそれまでと使い勝手が違うし、それに慣れるまで訓練しなくちゃいけません。そういった、様々なことを1個づつクリアしていきました。当初予定していたスタートには間に合わなかったけれど、たくさんの方の力を借りて、しっかり考え、じっくりと準備することができました。

事業がスタートしてからは、社会的なニーズはとてもあるけれど、訪問美容ということがまだそんなに認知されていない出雲の地でどうやって認知してもらうかが課題でした。ケアマネージャーさんや福祉施設であるとか、そういったところにアプローチしていくことから始めましたね。

なんとか少しづつお客様がついてきたと思った頃に新型コロナウイルスが流行し出しました。私のお客様の対象はコロナの重症化リスクの高い方が多いですから、ピリピリしていましたよ。それまで仕事の合間にしていた営業活動はできませんでしたが、そんな中でもいただける仕事を丁寧にこなして、2回目の依頼につながるよう、そのために時間を費やそうと考えました。最初は少し焦りましたが、今は経験を積ませてもらっている段階だなと思えるようになり、空いた時間は消毒をまめにしたりと、じっくりと仕事を開始できてよかったですね。

だんだんとリピート率も高くなりました。中にはお医者さんに止められて人生最後の散髪だという方もおられて、そういう場に呼んでいただいたこともありました。お店に勤めていたら、出会うことができない方達と出会うことができ、いろいろな経験もさせていただいています。

新聞の取材を見て依頼してくれた人もいて、興味を持ってくれる人がポツポツと増えてきましたよ。お客様のご家族さんにも「応援しているよ」とか、「とてもいい仕事。あなたは数年後にはもっと羽ばたいているよ」など、励ましの言葉もいただいています。面と向かって言葉にしてもらえることがありがたいですね。

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改めて気づく
人との触れ合いの温かさ

訪問美容は、プライベートな空間に入り込んでの仕事です。デリケートな部分も見えてきます。自分がまず信頼を得ないと自宅というプライベートの空間に招き入れてもらうのは、なかなか難しいですね。ゼロ以下からのスタートだなと思います。それに施設で施術するならバリアフリーだけど、自宅だといろんな環境もあるし、寝たきりの人やスペースも限られたりもしています。でもどんな場所に行ってもこなせないと意味がないなと改めて思いましたね。

ご家族から依頼があってもご本人は拒否されたこともありました。そんな時はじっくり向き合って髪を切ることにこだわらず、1対1の対話を心がけました。

話すことを楽しみにしてくださる方もたくさんいらっしゃって、お茶に誘ってくださったりもします。お菓子を用意して待っていてくださるんですよね。会話の中でたくさんのことを学ばせていただいています。

今日は顔色がいいなとか、前回ベッドサイドから動かれなかったけど、今日は廊下を歩行器で歩こうと頑張っておられたな、よかった〜とか、気持ちの充実感を感じますね。

介護の勉強をしている時に講師の方から教えていただいたタクティールケアというものを実践しています。スウェーデン発祥の身体に触れることでほっとするケアのことなんですが、手などをさすってあげることで緊張をほぐしてあげることができます。本当に効果があって、顔がこわばってらしたりする方に、目線を同じにして手をさすってあげると笑顔になられたり、無言だった方が言葉が出てきたりするので、ほっとされたのがよく分かります。介護のプロではないですが、自分ができる限りのことや配慮できることは最善を尽くしたいなと思っています。

美容師である以上、新しい髪型が似合っていただきたいですよね。鏡に映る笑顔を見ると安心しますね。

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これからもお客様の笑顔をもっと見たい

今までたくさんの方にたくさんの言葉をかけていただきました。良いことも、悪いことも全部大事に受け止めさせてもらっています。

「ありがとうとお客様からいただいた数だけ、またお客様は帰ってくるからね。」

事業を始める時に関わっていただいた方からかけていただいた言葉です。とても印象的で、ずっと心に残っています。

お客様やそのご家族に「本当に助かりました」「ありがとう」と言っていただけると、その言葉がふと思い浮かびます。人からかけてもらった言葉っていろんな場面で思い出すものだなと思いました。お客様の笑顔を見るたびにすごく温かい仕事だなぁと思います。

 

いろんな人に支えてもらったから、私もお客様の支えにちょっとでもなれたら良いなと思っています。

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出雲人が薦める出雲

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「御菓子とみや」のいちご大福
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