出雲大社のご祭神にちなんだ縁起物
「福こづち」で福を招く

尾添 大祐

(大社木工)

出雲市出身。大社高校卒業後、岡山県の大学へ進学。米子市に支社がある出版会社に勤務。その後、父親が経営する新聞販売店を手伝う。2004年から(株)大社木工の経営者として、弟の泰宏さんと贈答品として「福こづち」をメインとしたインターネット販売事業に打ち込む。

出雲の縁起物として
「福こづち」を贈答品に

大社木工は昭和22年の創業。当初は中国電力の下請けで電柱の腕木をつくっていたようです。しかし、電柱がコンクリート製に変わったことで木材の需要が減り、「さて、どうしよう…」と思案していたところ、島根県と共同で「出雲の特産物」として開発したのが「福こづち」でした。そう!出雲大社のご祭神である大国主命(おおくにぬしのみこと)に例えられた「だいこく様」の「打ち出のこづち」にちなんだ縁起物です。景気が上向いていた時代、出雲大社のお膝元でつくられた「福こづち」は観光客にとても喜ばれ、売れ行きも上々だったようです。

自分がここで働き始めたのは2004年から。父親が3代目として継いでいたので、半ば必然的に(笑)。もともと大社木工は親戚が始めた会社だったので、まさか自分が継ぐとは夢にも思ってなかったです。継いだ当時は正直、事業として厳しい状況でした。時代の流行りもあり、お土産物屋に「福こづち」を置いていても、昔のように売れる時代ではなく、営業に歩いても景気も悪くてなかなか…。次の一手を打たないと、危ない状態でした。

そこで、弟の泰宏と考えて始めたのがインターネット販売です。その年がちょうど「申年」で、社内で話し合い、赤房に変えて販売したところ、お客様から「還暦のお祝いに贈りたい」と注文があったのです。その後、そのお客様から連絡をいただき、先方がとても喜んでおられたことを聞きました。ちょっとしたアイデアで、こんなに喜んでもらえることにとても驚きました! それから還暦や古希の祝いはもちろん、新築祝い、開店祝いなどあらゆる祝い事の贈答用として売り出したところ、うなぎ上りで売れるようになりました。

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島根県と共同で「出雲の特産物」として開発した「福こづち」。

職人の手で生み出される
木目の美しさ

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お客様からのお便りに一枚一枚目を通す大祐さん。

「福こづち」の材は中国山地のケヤキです。固くて重量感があり、木目がきれいに出るからです。よって、木の選び方がとても重要となるのですが、割ってからでないと分からないことも多く、慎重に選別しています。工場で木をこづちの大きさまで切ると、木目を計算しながら、職人が一つ一つ手で形成していきます。調べてみると「木」のこづちを製造しているのは、全国でもここ大社木工だけのようです。今では、有名な神社へも納品させていただいています。

他に、「軍配」も製造しています。木の軍配をつくっているところも少なく、相撲を行う両国国技館の本場所のお土産コーナーに置いてもらっています。実は、島根県は神話に記されているように、相撲の発祥地と言われています。また、むかし武将が勝利を掲げるものとして軍配を挙げていたので、これも縁起の良いものです。

インターネット販売をはじめて約12年、首都圏方面からの注文が8割を占め、お客様からのお便りもたくさん届いています。こちらは当然「買っていただいてありがとうございます!」という気持ちでいっぱいなのですが、買っていただいた方、また贈られた方からも「こんなに良いモノをつくってくれてありがとう」とか「木目が美しく、丁寧な仕事をされていますね」、「本当に良いものをいただきました」という声をたくさんいただきます。もっと驚いたのは、「福こづちを店に飾っていたら『お客さんがたくさん来すぎるから飾るな』と言われました」という声までいただきました。いろいろなエピソードが届き、本当にありがたいことです。そして、こんなに喜んでもらえる仕事はないと自負しています。

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インターネット販売を担当する弟の泰宏さんと、パソコン見ながら打ち合わせ。

好きな読書でホッと一息。
ときどき旅行へも…。

よく家族と旅行へ行きます。子どもが小さいときは1泊2日で行ける山口県のサファリランドや広島県の宮島などへ。職業病なのだと思いますが、観光地へ行くとお土産店を見てしまいますね。商品もですが、接客対応とか、どんな売り方をしているか…とか(笑)。

あと、読書が好きです。最初は推理小説が好きで読み始めていたのですが、最近は小説が多いですね。講談社の編集者が選考する「メフィスト賞」というものがあるのですが、そこで賞をもらった素人がいきなりプロになるような賞で、辻村深月さんなどもそうで、そこからすごい作家さんが多く輩出されています。その受賞作でおもしろい小説の作家さんの本は読み続けています。

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最重要工程のひとつ、「玉削り」。一つ一つの木目を見て木目と平行になるように削る。

「福こづち」のブランド力を高め
出雲の魅力を全国へ発信

「福こづち」は平成28年に出雲のブランド力を活用し、全国に販路を拡大し出雲のイメージアップを図る「出雲ブランド商品」の認定を受けました。同時に昨年は、新商品として「純金箔製 福こづち」をつくりました! 金箔を施していますが、木目の美しさもしっかり見えて、なかなかの出来栄えです。売れ行きも思った以上。これからは、もっとお客様がお買い求めしやすいように、サイズの種類を多く設けようと考えています。

また、近年は、県外の百貨店のイベントにも出店しています。「福こづち」の売り上げというより、宣伝という意味合いが大きく、より多くのお客様に「福こづち」を知っていただきたいと思います。そして「福こづち」を通してご縁の国「出雲」にも関心をもっていただき、こちらに足を運んでいただきたいです。

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こんな小さな柄も手作業で作っている。

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