日本中、世界中を巡り
石神に魅せられた人生

すだ ぐんじ

須田 郡司

(巨石ハンター)

群馬県沼田市生まれ。琉球大学卒。沖縄の御嶽(うたき)と出会い、聖なる場所に魅せられる。日本と世界の聖なる場所を遍歴。2003年から2006年まで、日本の石巡礼を行う。2004年から石の語りべ(スライド&トーク)を全国各地で展開中。

海に憧れ沖縄へ
一生涯のライフワークと巡り合う

群馬県の山中、しかも寒冷地で育ったので、子どもの頃から海への憧れが人一倍ありました。いつも『海のある暖かいところに行きたいなー』と思っていたのです。その念願叶い、大学は沖縄の琉球大学へ行きました。そして、その沖縄で自分のライフワークを見つけたのです。

沖縄には祖先神を祀る琉球信仰があります。目に見えない存在を信じている土地柄で、人々は普通にシャーマンに頼り暮らしています。琉球信仰に惹かれはじめていた学生のころに「斎場御嶽(せーふぁうたき)」という三角状の岩の聖地と出会いました。それを機に、磐座(いわくら)を祀る聖地を巡り、写真におさめたいと思ったのでした。

大学卒業後は上京し、写真の専門学校へ通った後、カメラマンのアシスタントや週刊誌の撮影、肉体労働の仕事をこなしながら、お金を貯めてはカメラ片手に聖なる場所を求め海外へ旅をしていました。

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石と神と人をテーマに
石神を求め聖地巡礼へ

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海外で印象的だったのは、2000年に行ったアフリカのジンバブエです。ジンバブエはイギリスの植民地だったこともありクリスチャンが多い地域です。普通ミサは、教会で執り行われるのですが、アポストと呼ばれているクリスチャンのグループは自然の岩場であったり、木が生えているところでミサをしているのでした。その3カ月の滞在で、毎週のようにミサを見に行っていたときに「日本の石神信仰と共通するものがある!」と感じたのでした。

それから足元の日本をきちんと理解しようと思い、東京に戻り2003年から3年間、車で日本一周巡礼を行いました。聖地巡礼では人と関わる石をテーマに、そうですね…1000カ所くらい磐座や石神を見て、記録と撮影を行いました。

日本の聖地巡礼を行った後、2009年から約1年間、妻と2人で世界40カ国、150カ所の巨石文化を巡りました。世界には、あらゆる宗教があり、石をよりどころにしている信仰がたくさんあります。例えば、大きな岩の上に教会や修道院があったり、石の上にミカエルが現れたり、洞窟にマリアが現れたという言い伝えもあります。紀元前から先住民たちの基底部分には「岩(石)」そのものを宗教が取り込んでいくことが多いと感じました。岩(石)は不変性があるからかもしれません。

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海外へ行くからこそ
日本の良さが実感できる

島根県にはじめて足を踏み入れたのは、日本の聖地巡礼の最中、1991年に行われた出雲大社の神迎神事でした。そして海外巡礼後の2013年、出雲大社の遷宮の年に、仲間20人ほどでお参りに行きました。その時、5月の島根を旅していると、とても空気が良くて「イイところだなー」と妻と話をしていたのでした。出雲旅から帰宅し、妻がインターネットでたまたま〝出雲大社から徒歩5分の古民家〟が売りに出されているのを見つけ、1週間後にまた出雲へ! そして、その古民家を衝動買いしてしまいました(笑)。

神話が残る地「出雲」にご縁があったのだと思います。その年の10月に完全移住し、今は出雲を拠点として活動しています。

妻は以前から料理の仕事をしていたこともあり、この古民家で「ベジカフェ まないな」を経営しています。海外では、ベジカフェがたくさんあるのですが、日本では特に島根にはベジカフェが余りありません。しかし「ニーズはきっとある!」と思い、はじめたカフェは、今ではたくさんのお客様から、ごひいきにしていただいています。

プライベートでは、定期的にインドに行っています。あと、チベット旅行も計画中です。

日常のことでいうと、自家で食べる分だけですが米づくりをしています。裸足になって田んぼに入ると、体が大地と一体になった感じがして、とても心地がいいのです。米づくりは、とても良い気分転換になります。

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石の語りべの観点で
出雲の魅力を発信したい

私は聖地巡礼の経験から「石の語りべ」を生業にし、石神の写真を見ていただきながらトークを行っています。「石」はとてもコアなジャンルですが、魅力的に発信したいと思っています。思いのほか、海外の人に石神の話をすると通ずることがあるようで、興味をもっていただけます。特にヨーロッパは石文化ということもあり、石を好きな人が多いですね。また信仰や祭祀場などの研究者や愛好家も「石」に興味がある人がたくさんいます。

私が選ぶ出雲の石神様のお気に入りは、鷺浦の御陵神社(山の神)、立石(たていわ)神社、韓竈神社です。個人的に案内するときには、必ずその3カ所へ行きます。これまで、出雲国と石見国の「巨石マップ」を作りました。これから隠岐、因幡、伯耆、さらに日本全国のマップができればと願っています。

2018年4月からは島根大学の大学院で文化人類学を勉強しています。これまでの聖地巡礼の経験を学問的に研究したく、地域研究や石神様のことなど、日本と世界とを比較して発信できるように勉強しています。

これから巨石信仰や磐座文化を守る活動も行いながら、魅力ある古代出雲の観光資源とからめ、石の語りべとして伝えていきたいです。

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出雲人が薦める出雲

つぶて岩
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日御碕に行く前に見える高さ約10メートルほどの岩です。天気の良い日は三瓶山をバックにつぶて岩がきれいに見え、透明感があり、知られざる場所です。

くじら島
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稲佐の浜の砂浜に埋もれてしまった島で、1年に1度、4月の連休前の日曜日に掘り起こしています。現状復帰という条件ですので、すぐ埋めてしまいますが…(笑)。

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