暮らしに寄り添う
街のパン屋さんを目指して

すぎたに のぶ

杉谷 野歩

(ノブパン)

大阪府生まれ。北海道の大学を卒業後、北海道のベーカリーに従事。その後大阪にあるパンの有名店等を経て、2017年に出雲にIターンし、さまざまな人との出会いに後押しされて2018年に市内に「ノブパン」をオープンさせた。目指すのは「街のパン屋さん」。特別なパンではなく、いつもそこにあるおいしいパンを丁寧に作り続けている。

パン業界への道筋となった北海道のベーカリー

小さい頃は転勤族でしたね。大阪で生まれて幼稚園まで福岡にいて、その後は高校卒業まで再び大阪で過ごしました。

北海道の大学に進学して、大学卒業後は北海道のスーパーに就職しました。そこでベーカリーの担当になり、販売から製造、管理全般まで全て任せてもらっていました。今の仕事のベースはその時代に培われたものだと思います。

30歳になる頃に転職を考え、大阪のパン屋に勤めました。姉妹店を複数持つ人気店だったのでいろいろと勉強になりました。そこを退職して、しばらくは自宅で趣味としてパン作りを続けていました。それまでは働き先のお店の方針やレシピに沿って作っていたわけですが、趣味なので一から自分の好きなようにパン作りを楽しんでいました。近所の神社で時々開かれていた朝市に出品させてもらっていたこともありました。

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出雲市へ孫ターン。親戚のおじさんに後押しされてパン屋を開業!

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一時はパン業界から離れていたものの、そのあと縁あって北海道のクロワッサン専門店に入職。その後出雲へ移住することになったのは2017年のことでした。大社町に父方の実家があり、小さい頃から出雲は何回か訪れていたことがあったので、祖母の家に身を寄せることにさせてもらって。今で言うところの「孫ターン」ですね(笑)当初は普通に就職活動をしていたんですが、やはりパン作りに従事したいという強い思いもあり、自分でパン屋を開業することを思い立ちました。家族や周りからは反対されましたが、親戚のおじさんに話したら面白いって興味を持ってくれて、「失敗するなら早い方がいいぞ」って(笑)いろいろ後押しされたのがきっかけになって、開業を決めました。

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パンづくりの匂いや音も感じてほしい
こだわりのオープンキッチン

その後もいろんな人たちとの出会いに恵まれてトントン拍子に事が運び、2018年6月にオープンに至りました。お店づくりにおいて一番こだわった点は、キッチンを中の様子が全部見えるオープンキッチンにしたことです。作業の効率性の理由もありますが、対面にすることでお客さんとの距離も近くなりますし、「何も隠すものはありません!」って全部見えるほうがお客さんも安心じゃないかなって。パン作りに興味があればその工程を見てもらえるし、小さい子なんかにも見てほしいし、パン作りの音や匂いを感じてほしいんです。その代わり営業中はちょっとうるさいかもしれません(笑)

僕自身、少し人見知りなところもあって、初めての店とかドアを開けて入る時ちょっとドキドキしちゃう。だからこの店はお客さんが開けて入った時、楽しい気持ちになれるようにしたかった。パンが並ぶカウンター越しでは数名のスタッフさんがお出迎えしています。赤ちゃん連れの方などには、「お手伝いしますよっ」と優しくお声がけしてくれています。スタッフさんたちのお陰で、そんな気さくなお店の雰囲気が出来ています。僕は集中してひたすらパンを作っているだけなんです(笑)

そうしたお店づくりでの基準は、僕自身が受けてきた接客の影響が大きいですね。うれしかったことは取り入れる、嫌だなと思ったことは絶対しない。最初から全部は無理だけど、一つずつやっていって継続して形になってきています。SNSは毎日発信して、ネット販売もしています。時間は全然足りないけど、できることは何でもやりたいって精神でやっていきたいと思っています。

店内にはパンのほかに、パンの原料に使っている大山こむぎをはじめ、僕がいいと思ったグルメなどいろんなオススメの商品を販売しています。店の奥では斐川町で栽培されている季節のお野菜も販売していて、パンと一緒に買って行かれるお客さんも多いですよ。僕の今後の目標の一つに、ここを何でも揃う商店にしていきたいっていうのがあって。これまでもお花やアイスなどいろいろ思いついたものを販売してきました。パン屋だけど、ついでにここで全部揃っちゃうような。そんなお店を目指しています。

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ハレの日のパンではなく、
暮らしの中にあるいつものパンを

今提供しているパンは50種類ちょっと。オススメはクロワッサンとか食パンですかね。うちのパンは特別な時に食べる「ハレの日のパン」じゃなく、日常的に食卓に並べられるような、小さい子から年配の人まで普通に食べてもらえるパンでありたいって思っています。奇をてらったものとか自己満足のパンじゃない、いわゆる「街のパン屋」を貫き通そうって。例えばメロンパンっていったら「あの形の、あの味」ってみんながイメージを持ってるじゃないですか。アンパンならあんな感じだなとか。そういうみんなが“想像できる”パンを作りたいなっていうのが僕の中にずっとあります。時々、これとこれ組み合わせたら美味しそうだな・・・なんて変わったパンも思いつくんですけど、「いやそれやったらダメだ」って(笑)派手なことはできませんし、流行りみたいなこともしたくない。シンプルにできることを丁寧に。それが一番難しいんですけど、食文化としてちゃんと残せていけるようなパン作りを細く長く続けていけたらと思います。

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出雲人が薦める出雲

SPIRA FARM(スピラファーム)
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ノブパン店内の一角で販売しているのはここの野菜!斐川町にある農園で、化学肥料や化学合成農薬に頼らず育てた野菜も栽培しておられます。しっかりした野菜のうまみが感じられておいしいですよ。

出雲平成温泉
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パン屋は見た目以上に重労働。休みの日は温泉に行ってしっかり身体のメンテナンスをします。よく行くのは出雲平成温泉。ゆったりとした温泉施設で、お湯が熱めなところも好き。更衣室や休憩室も広く、リフレッシュできます。

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