生きもののカタチ
自然のちからを表現したい!

田部井 眞子

(ミツトリヒトギ)

東京都生まれ。武蔵野美術大学工芸工業デザイン・テキスタイル専攻を卒業。デザインユニット「ミツトリヒトギ」の活動を行う。東日本大震災がきっかけで2011年に松江市に引っ越し、翌年出雲市へ移住。

きっかけは東日本大震災
東京を離れ夫の故郷へ移住

東京で生まれ、小さい頃から絵を描いたり工作をするのが好きでした。運動や勉強はちょっぴり苦手でしたが、母が私の絵を誉めてくれたので夢中で絵を描いていました。大学は武蔵野美術大学の工芸工業デザイン学科テキスタイル専攻に進学。卒業後は美術予備校の講師を勤めながら、シルクスクリーンの作家活動を行っていました。シルクスクリーンとは、昔流行った「プリントごっこ」のように、原画をもとにさまざまな色の染料を布に刷っていく方法です。そしてブランド「ミツトリヒトギ」を中・高校の同級生だった柳本さんとスタート! ミツトリヒトギの企画や作品づくりは、すべてにおいて二人で相談しながら行っています。

その後、大学の同期だった夫と結婚。子どもが産まれて6カ月経ったときに、東日本大震災に遭いました。スーパーからはモノが消え、水すら買えない状態。余震が続き、暮らしも心も落ち着かず、しかも夫は中国へ出張…。母子だけの暮らしは心細い状況でした。そんな時に、松江で暮らす夫の両親が「しばらく松江で暮らそう」と、私たちを呼んでくれました。

いずれは東京に戻るつもりでいたのですが、こちらの方々が温かく迎え入れてくださったこともあり、思い切って松江に引っ越すことにしました。

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モチーフは「生きもの」
生きていくためのカタチがおもしろい!

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松江に移り住んでもシルクスクリーン制作を続けていましたが、新築の実家を染料で汚してしまうのではと気になって仕方なく、作業ができる住居を探すことにしました。地元の方から「島根は古民家がたくさんあり空き家が多い」と聞いていたので、いろいろな家を見に行きました。そして、たどり着いたのが出雲市多久谷町にある築約130年の古民家。昔ながらの表間が気に入り、2012年の春から住み始めました。仕事を再開したのは、その1年後です。

最近の創作は生きものや植物など「生きていること」をテーマに、なるべく身近なもの、手に取って見られるものをモチーフにしています。個性的なものを個性的に描くより、日常にあるタマネギなどを五感で感じて、「こんなカタチなんだ!」と発見したことを作品に込めていきたいと思っています。

生きものも植物も「その土地や環境に適用しよう!」「生きよう!」として、一生懸命そのカタチに工夫して進化してきたのだと思います。そのカタチであることが必然で、花びらの数や実の数、大きさや形状には、すべて意味がある…。そういうところにパワーやエネルギーを感じますね!見れば見るほどおもしろく、その力強さを誇張して、自分なりの形に描いていくことを目指しています。作品を見た方に「タマネギっておもしろいカタチをしているんだな」「作品を見て元気を貰った!」と思ってもらえたら嬉しいです!

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築約130年の古民家を利用したショップ&ギャラリー

生きものからあふれるエネルギーを
シルクスクリーンで表現

出雲に越してきて6年経ち、作風も変わってきました。東京で暮らしていても、もちろん制作はできたと思いますが、知らない世界を見ることができ、物事の見方が変わってきたのです。

例えば…「タケノコ」!東京に暮らしていると、土も泥もなく、皮をはがされたキレイな美しいタケノコがスーパーで売られています。しかし、今は春になると裏山でタケノコを採ります。鍬(くわ)でガッと土を掘り返すと、チラッと逞しく太い根っこが見え、とても力強く格好良く感じられるのです。私は今まで本来の「タケノコ」の姿を知らなかったわけです。

また、夏になると子どもたちと一緒に庭でトマトを育てます。トマトの花は黄色くて小さく、かわいい形をしていることが分かりました。なので、トマト柄のモチーフは赤い実の中に、花も入れ描いています。ほかにはキノコや錦鯉、出雲にちなんだ「雲」のモチーフなどを。日々のさまざまな感動が、作品に繋っています。

作品を大きな布で表現することにシフトしたのも、出雲に来てからです。東京の頃は手ぬぐいを作っていましたが、今はエネルギーがありあまり、手ぬぐいの小さなキャンパスでは収まらなくなりました。全長25メートルの大きな布を職人さんの手で染めてもらうことで、生きものがどんどん上に伸びて成長していく様を表現しています。今は厚地の布でバックなどをつくっていますが、大きい建築物や屋外などにもディスプレイしてみたいですね。

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志をもつ子どもたちに
絵の力で夢と希望を

小さい頃からの趣味と言えば絵を描くことですが、漫画やアニメを見ることも好きです。一番リスペクトしているのは、やはり宮崎駿先生です。ジブリ作品は2~3歳の頃からずっと見ていて、共に成長してきました。キノコが好きなのも、影響を受けていると思います。

このように自分が幼少のころから、絵と関わって過ごしたこともあり、同じ方向を目指す子どもたちを応援したいという気持ちがあります。今、美術大学を志望する高校生に絵を教えています。中学3年生から通ってくれていて、もうすぐ受験と思うと私までドキドキ…(取材時は受験前でしたが、この3月に第一希望の大学に合格しました!)

出雲で美術大学に進学する子どもは少ないようですが、美術が好きな子どもたちがもっと増えたら嬉しいですね。せっかく、エネルギーが満ちあふれている地域で育ち、おもしろいモチーフがたくさんあるのですから。

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出雲人が薦める出雲

刺身
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実は刺身が生臭くて大っ嫌いでした。しかし、出雲に来て刺身を食べたら全くの別物!イカも甘くて歯ごたえがあり、おいしい! 1番びっくりしたのが、仕出しに刺身が入っていることです。

出雲の雲
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山から雲が湧き出ているのをはじめて見たときに「これが『出雲』の由来なんだ!」と感動しました。空が低く、雨が降ったあとに、後光が差している様子がいつも見られて神々しいです。

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