昔から親しまれている和菓子を
次世代へ、そして海外へ

土江 徹

(御菓司 福泉堂)

出雲市斐川町出身。高校卒業後に岐阜県にある和菓子屋に修業に出る。23歳の時に地元に戻り、実家を継ぐ。その中、TVチャンピオン和菓子職人選手権に出演。2013年、2017年の全国菓子大博覧会の工芸菓子部門で最高賞の「名誉総裁賞」を受賞。

和菓子嫌いの幼少期
一転して和菓子職人の道へ

「御菓司 福泉堂」という和菓子屋に生まれ、父や母が当たり前に自宅兼店舗で働いている環境で育ちました。ところが、子どものころは和菓子があまり好きではなく、スナック菓子やアイスクリームを好んで食べていました(笑)。

そんな自分でしたが、高校卒業後に岐阜県の和菓子屋へ住み込みで修業にいきました。創業は福泉堂と変わりませんでしたが、若手職人を育てる店で弟子が十数人いました。弟子同士が切磋琢磨して技を磨き、生活を共にしながら5年の年月を過ごしました。

そして23歳の頃に実家に戻り、島根県菓子技術専門校に1年間通いました。その専門校は、年間20回(月2回程度)のカリキュラムが組まれていました。学校に入った目的は、地元の和菓子事情を知ることと仲間づくりでした。なぜなら専門校は主に松江の和菓子屋の従業員が入っていたからです。そして、その方々のほとんどが「松江松和会」という団体に入っていました。自分もすぐ松江松和会に入会し、皆さんと交流しながら業界事情を聞き、友だちもできました。

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何事もやってみる!
経過にも結果にも得るものがある

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松江松和会に入会した当初、「持ち寄り会」というコンテストがあり、自分は5つ盛(5味5食の和菓子)をつくり、賞をもらったのですが、その中で20歳そこそこの和菓子職人が工芸菓子をつくっていたのです! その素晴らしい作品を目の当たりにして「チキショー」という悔しい思いが込み上がりました。〝年下なのにやりやがったな!〟という思いですかね。はじめは工芸菓子に興味はなかったのですが、負けず嫌いがたたり(笑)工芸菓子の勉強をはじめました。工芸菓子とは江戸時代に大奥で鑑賞されていた「献上菓子」がはじまりで、砂糖や米粉、白あんなどを使ってつくる鑑賞用の菓子です。草花や動物などのモチーフが多いです。

その後、4年に1回開催される日本最大級のお菓子の祭典「全国菓子大博覧会」では、第26回(2013年)、27回(2017年)の工芸菓子部門で2年連続、最高賞の名誉総裁賞を受賞することができました!

また以前、TVチャンピオン和菓子職人選手権に出場したこともありました。結果、負けてしまったのですが、その時の経験や番組での菓子づくりを手伝ってもらった人と友だちになるなど、得るものが多かったです。負けず嫌いのチャレンジャーなのかもしれません(笑)。

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変わらない味と新しい味
和菓子も時代の流れとともに

実家に戻ったとき〝いざ和菓子をつくろう〟と思ったものの、修業先とは味や形など和菓子の種類が違うため、福泉堂の和菓子を覚えることがはじめの仕事でした。「ししす」は鉄板商品、「若あゆ」は初夏に出すなど、定番商品から覚えていきました。

その中で、どうしても修業先の〝どらやき〟を再現したくて、中古の機械も譲ってもらい、今では福泉堂に欠かせない、「どらやき 斐伊川」をつくることができました。北海道の小豆をふっくら炊き上げ、ふんわり焼いた生地で挟んでいます。栗バターどら焼きも人気で、栗どら焼きに口当たりの良い有塩バターを挟んでいます。

最近は「季節の大福」を手がけています。パイナップルやブルーベリーなど、季節の果物を入れ、老若男女問わず人気がありますよ。今はそれら定番和菓子を大事にしながら、新しい和菓子を創作しています。また、季節の和菓子をつくってはSNSにアップしています。Instagramでは約5万人のフォロワーがあり、それがきっかけでいろいろなご縁ができました。講演会の依頼があったり、マレーシアに和菓子の話をしに行ったり。この前は、山梨から東京の製菓学校に通っている生徒が、自分のInstagramを見たきっかけで、和菓子職人になることを決めたらしく、テレビのインタビューも受けました。他にも大手企業とのコラボで和菓子の撮影がしたいとの話もあります。本当にどこでご縁がつながるか分かりませんね。

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次世代へつなぐため職人を育て
日本の文化を世界発信したい

自分が修業に出た経験があるからだと思いますが、これからは和菓子職人の育成をしたいです。現在は香川から一人、うちに和菓子を学びに来ています。

それと現在、人口が減少していることで、和菓子の消費量も落ちています。東京や大阪の都市部へいくことは競争が激しく、大手の老舗店に太刀打ちできません。それなら!と、今はカステラやブッセなどの和菓子を海外へ輸出してみたいと構想中。今後の和菓子の展開を思案しているところです。

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出雲人が薦める出雲

吉岡製菓
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同じ町内にある和菓子屋です。ここも伝統の和菓子から新しい菓子づくりをしている店です。特に「ルビーいちご」がおススメ!見た目もいいし、発想もおもしろい菓子です。

味伸
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出雲ドーム近くにあるラーメン屋です。ベースは豚骨ですが、そこまでこってりしてないので、食べやすいおいしさです。おススメは塩ラーメンか味伸ラーメンです。

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