多伎の休耕田を金魚養殖池に。
金魚の魅力を伝えたい!
やまだ まさし
山田 真嗣
出雲市出身。 東京海洋大学を卒業後、東京の観賞魚輸入卸の会社に就職。 2016年、地域おこし協力隊として出雲市多伎町にUターン。地域振興に尽力。 2017年から多伎町の休耕田を活用した金魚の養殖「田んぼで金魚」を始める。 現在、金魚養殖とイチジク農家として活動中。
子供の頃から感じていた
生き物を育てることの魅力
子供の頃は、川で魚やエビを捕ってきては家でよく飼育していました。金魚ももちろん好きでしたよ。金魚すくい好きな人多いですよね?僕もそうでした。
東京海洋大学に進学してからは、魚を養殖することについて学びました。その頃も趣味で金魚を飼っていたんです。金魚の品評会に出展し、金魚を育てる面白さに目覚め、観賞魚の世界に興味を持つようになりました。
その後、東京で観賞魚の卸業者に就職しましたが、将来出雲に戻りたいという気持ちがずっと強くあったんです。でも、戻って何をするかというのを働きながら模索していました。
江津市の“ビジネスプランコンテスト”に応募したり、島根県の “しまことアカデミー”東京講座を受講したりして、自分がどういう形で島根に戻るのがベストか常に考えていました。自分の好きで得意なことで勝負することが勝算があるのではと考えるようになりました。それが金魚の養殖ですね。仕事で得た知識や、しまことアカデミーで出会った人との情報やアイデアで島根でもやっていけると確信しました。
休耕田を使って始めた金魚の養殖
一緒にイチジクと米づくりも始めることに!?
奈良県の大和郡山市は金魚養殖のメッカなんですが、米を作る田んぼの間に池があるんですよ。お米を作るか金魚を作るか、両方作るかという感じで、農家が一つの仕事として金魚養殖を選ぶことも多いみたいです。
「田んぼで金魚」ですね。きっと出雲には休耕田がいっぱいあるはず。休耕田を使って金魚を養殖することができれば休耕田を減らせるし、地域にお金を生んでくれると考えました。
そんな中、出雲市で地域おこし協力隊の募集がかかりました。3年間給料を得ながら地域貢献につながるような活動ができるんです。もともと地域活動に興味があったのと、土地を確保するために自分を地域の人に受け入れてもらいたいと考えていたので、これはチャンスだと思いました。
地域おこし協力隊で多伎町に派遣されたおかげで地域の方の信頼も得られ、行政の方も味方になっていただいて農地を決めることができました。
なぜか成り行きでイチジクとお米も育てることになったんですよ。最初は金魚だけの予定だったのに。養殖池にする予定の周りの田んぼの持ち主の方に挨拶に伺ったとき、「お米も作ったらどうだ?」って言われて。その時は受け流したんですが、また会ったときにやっぱり言われるので・・・。最初は周りの方とうまくやっていきたいという思いからやることを決めました。でもいざやってみるとお米を育てるノウハウって金魚の養殖にも役立つんですよね。水を引くための方法や維持する方法とか。金魚だけを養殖していたら、きっと周りの人にはよく分からん奴だと思われるだけじゃないですか。それが米を作っていると周りの農家さんはいろいろ教えてくださるんです。大変なことをようやるなと言ってもらえるんです。自分より遥かに経験値がある方々にいろいろなことを教えてもらえたのはよかったですね。
イチジクも流れでやり始めましたが、今では金魚と同じくらいの比率でやっています。イチジクは多伎町にとって大切な特産品です。イチジクという特産品があることで街の元気も維持されていると思うんです。これから先ずっとイチジクで発展していけるように若い人の雇用がもっと増えるといいですよね。
金魚には語り尽くせない魅力があります!
金魚の初出荷は2年目でした。最初の年は全滅したんです。理由は全く分からない。だから自分でこれがベストかなというものを試すんです。ちょっとずつちょっとずつ試していく。それで2年目に数は少なかったのですが、なんとか出荷することができました。自分が想定している以上に分からないことだらけでしたね。
最近やっと軌道に乗れるかな・・・?と感じられるようになったところです。
金魚って実はいろんな種類があるんです。同じ種類でもちょっとずつ模様や色が違うんですよ。今、うちには10種類以上の金魚がいますね。
えさを与えればどんどん太るし、太ってくると可愛いんですよね。可愛くて可愛くてどんどん太らせちゃう。実際にマルッところっとしているほうが人気です。
品評会では自分が育てた金魚を持ち寄るんですが、他の金魚を見て「全然勝てね〜」とか「こんなサイズにどうやったらなるの!?」とか「この太さたまらんな」とか、ほんとに面白いです。
勝つ可能性を秘めた金魚を常に探し、育てています。評価してもらうのは楽しいですね。
販売用と金魚すくい用と品評会用に選別していますが、どの金魚も愛着が湧きます。出荷は寂しいですよ。正直出したくないです。いつもドヨーンとしながら出荷準備をしています(笑)
親切にしていただいた、皆さんにお返ししたい。
今後は、金魚すくいを地域での活動の主軸におきたいと考えていて、それと同時に多伎という地域のPRをしていきたいと思っています。多伎に来た時から地域貢献を続けたいという気持ちは変わっていません。
あと、イチジク農家の発展にも力を入れたいですね。何か得意なことがある人は、「好きで得意なこと+イチジク農家」というようなやり方もいいと思うんですよ。僕はその得意なことが金魚養殖だった。そんな感じでイチジク農家が増えるように働きかけていきたいですね。
出雲人が薦める出雲
- 多伎イチジク
多伎はイチジクが美味い!めっちゃくちゃ美味い!もちろん自分で作ったものも(笑)収穫前は品質管理だと言いながらついつい食べてしまいます。
- はたご小田温泉の鮎めし
僕が多伎町で一番好きな料理です。特製の出汁をかけて食べるのがたまりません。イチジク収穫でめっちゃがんばったときに食べに行きます。大体平均月1回くらいは行ってますね!