ナゼか平地でスイッチバック!? 一畑電車のスイッチバックに隠された意外な秘密とはなんだ?

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松江しんじ湖温泉から、電鉄出雲市駅・出雲大社前まで運行している、一畑電車。2010年公開、中井貴一さんが主演の映画『RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語』で、一躍有名になったこの電車は、意外な動きをすることで、鉄道マニアの間で知られている。

その動きとは、スイッチバックだ。一般的にスイッチバックとは、急こう配の山道などで、馬力をつけるために電車の向きを逆にするもの。ところが、一畑電車は平地を走っている。馬力をつける必要などないのに、なぜ向きを変えて走るのか? その秘密に迫る!

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恥ずかしながら、私ロケットニュース24のライター佐藤は、一畑電車にそれほどの乗ったことがない。というのも、松江市で青春時代を過ごした私は、チャリ通だった。電車に乗る必要がなく、チャリでどこにでも行けると本気で思っていた。今思えば、全国の鉄道マニアが体験したいと思うスイッチバックを、一度くらい経験しておくべきだった……。そこで早速車で雲州平田駅へ。ちょっと待て、電車に乗るのに車で来る必要があったのか!?

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最近都会では見ることのなくなった、有人改札を通る。改札に掲げられている路線図を見ると……。

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一畑口駅のあたりで、線路が枝のように分かれている。どうやらここでスイッチバックするらしい。それにしても、何でこんな線路の敷き方をしているのだろうか? とりあえず乗ってみれば、その理由がわかるか……。

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一畑電車の車両のおもむきは、和むものがある。あったかいというか、懐かしいというか。長年働く職人のように、いぶし銀の佇まい。鉄道に詳しい訳ではないのだが、電車がまとったぬくもりを感じる。いいなあ~。

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席に腰かけて、ふと上を見上げると、停車駅の案内がある。あれ? 一畑口のところ、まっすぐに記されているけど、スイッチバックしてもまっすぐ進むってことだよね? じゃあやっぱり、電車が向きを変える必要ってないのでは? どういうこと?

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そうして、一畑口駅に到着。すると、運転手さんに異変が!

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手荷物とハンドルを持って立ち上がり、電車の外へ! どこ行くの~!!

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電車を降りたと思ったら、反対側のドアから運転席に乗り込んだ。そう、これがスイッチバックである。電車は向きを変えて動き出した。先頭車両から線路を見てみると……。

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進行方向をスイッチしなければ、到底走ることのできない線路の敷かれ方をしていることがわかる。これ、まっすぐ線路を敷いた方が、効率的だよね? いろいろと手間も省けて良いと思うんだけど……。実はこうなったのには、深い理由があった。

一畑電鉄運輸部営業部の原成実さんと、加藤学さんにお話を聞くと、スイッチバックになったのには、悲しいことに戦争が関係していた。

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今から約70年前の1944年。日本は戦争のさなかであり、物資不足でありとあらゆるものを供出で日本中からかき集めていた。その当時、一畑電車は現在の一畑口から一畑薬師までの3.3キロ、線路が続いていたそうだ。電車で薬師まで行くことが可能だったのである。

太平洋戦争の末期に、不要不急の路線は休止するようお達しが出て、この3.3キロの運行を取りやめることになった。そして、その線路は軍事上必要な新線建設などに転用されることになったいう訳だ。

つまり、線路は寸断され、スイッチバックを余儀なくされたということになる。何だか悲しい理由なのだが、今ではこれが名所のひとつとなり、マニア心をくすぐる結果となっている。今でも一畑薬師のあたりに、旧駅舎跡があるそうなのだが、私は近くまで行ってみたものの、見つけることが出来なかった。一畑薬師を訪ねる時は、道すがら旧駅舎を探すのも面白いかもしれないぞ!

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